フリーダムすぎだろPSO2

イントロダクション ー 旅立ちの朝


 さあ、みんな準備は出来た?レオノーラの元気な声が屋敷に響く。
 元気な男の子の声がそれに呼応するように答える。俺たちは勿論オッケーさ
 一人の声に続き、二人の元気ではあるが、感じの違う男の子の声も続く、うん、ああ…
 そしてもう一人、あまり活発でない感じの女の子の声もする。ねえね?もう行くの?
 そろそろ出発しないと乗り遅れちゃうからね。よし、みんな揃ったね。エルネスタ、アーベル、アードルフにアーロイス、レオノーラは確認するように、名
前を呼び、よし、行くよ!とみんなに声をかけた。
 レオノーラの後に続き、大きな屋敷を背に五人は歩き始めた。
 ねえね?もうここには戻ってこないんだよね?不安そうなエルネスタの声がちょっと寂しさを感じさせたが、元気よく空を指さし、今日からはあそこが
私たちのおうちだよ、元気よく行こう!
 両親が事故で亡くなり、遺産で暮らして行けるのは確かだが、自分達は、本当の子供ではない事は昔から分かっていた。本来の居場所はどこにあ
るのか、レオノーラは常に模索していた。優しい両親が居た頃はあまり深く追求する必要も無かったが、両親の不審な事故死は、その事を追及せざ
るをえない事を意味した。このまま、ここに居ても何も進まない、そして、新たな人生の歯車は自分で回すのだとレオノーラは固く心に誓ったのだ。
 その決心を知ってか、知らずかは図らずとも、妹や、弟たちは姉についていく事を決めた。もっとも、エルネスタに至っては、姉が居なければ何もでき
ない自分を良く知っていたので、姉についていくしかないのだと、悟っていた。

~~ ・ ~~

 小さな町なので、町の中央まではすぐについた、この小さな町には不釣り合いの大きなターミナルが見えてきた。
 ターミナルに入ると、そこはまるで別世界のようにキラキラしており、その光景に浮足立ったアードルフが、よし!、競争だ!なんて叫んで走り出すもの
だからそれにつられて、負けるもんかー!とアーロイスが続く。二人とも駄目だよ~などと言いながらアーベルもそれに続く。新天地へ向かう不安もよ
そに、レオノーラも、まてーお前らー、と、続き駆け出すと、心もとない声で、待ってーねえねーとエルネスタも続いた。しばらくは、わいわいと走っていた
が、先頭のアードルフが人にぶつかり、盛大に転がった。レオノーラは咄嗟に、その初老の男性に近づき、すみません、すみませんと謝るが、その初老
の男性は、にこにことしながら、元気のいい坊ちゃんだねェと意に還さず声をかけてくれた。レオノーラは紳士な人で良かったと思ったが、さて、このま
まという訳にもいかないと思い、アードルフの手を引くと、男性の前へ引っ張っていき、お前も謝れと、頭を押さえつけた。男性は、いやはや、元気がい
いねェ、男の子はそれぐらいでいいのだよ。と、寛大に許してくれた。
 男性は、そのまま会話を続けた。ここに居るということは地球本部へ行くという事かな?
 はい、これから、本部経由でアークス船団へ行きます。とレオノーラは正直に答えた。
 船団へ行くのかい。ではアークスになるのかね?
 はい、私は、アークスになります。この子たちは、アークスになるかどうかは、別として、とりあえずわたしと一緒に行くことにしました。
 そうかそうか、仲の良い兄弟なのだね。良いことだ。失礼だが、君たちはニューマンだね。男性は耳に特徴のあるニューマンであることを直ぐに気づ
いたようだった。
 はい、私たちはヒューマンではありません。少し不安に駆られたが、男性はすぐさま、いやいや、大したことではないのだよ、地球ではヒューマン以外
をみかけるのは珍しい事だからね。では、旅は道連れというし、わたしも一人で本部へ行くところだったのだ、ご一緒してもよろしいかな?
 何気に知り合った、話しやすい紳士の男性が居てくれるのは、初めて向かう場所への不安を打ち消してくれる。そう思ったレオノーラは、是非!と元
気に答えた。ただ、レオノーラは、3人の弟が果たして、目的地までおとなしくしていてくれれば良いなとは思っていた。
 出発ゲートを抜け、落ち着いたところで、互いに自己紹介をした。男性の名はルドルフ、本部職員のOBらしいことまでは分かった。アークス船団に
外交員として赴任したこともあるらしい。ルドルフは自分の知識を生かし、レオノーラ達に、アークス船団での生活は、地上にいるのと変わらない事、
コースフェルトの町と比べると、むしろ、もう少し大きな町で暮らすイメージであることなど、色々と話してくれた。町では著名だった、レオノーラ達の両
親の事も、貴族であるにも関わらず、腰が低く、大変評判の良い人であったことを話てくれたので、レオノーラ達も少し安堵していた。
 ルドルフは、アークスの仕事についても詳しかったようだが、そこは敢えて話さなかった。血なまぐさい話は、この場には相応しくないであろうという
ルドルフなりの配慮であろう。また、これから、その戦闘へと赴く若きアークスの女の子を不安にさせないための配慮でもあったのかもしれない。

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